敗戦とGHQによる占領

ポツダム宣言の受諾

1945年8月14日、日本政府は連合国による無条件降伏を求めたポツダム宣言を受諾することを決めた。翌15日正午に、この決定について昭和天皇自らによる発表がラジオ放送(いわゆる玉音放送)され、日本国民は戦争が日本の敗北によって終結したことを知った。
ポツダム宣言は7月26日に発表されたが、日本政府の指導者層の間ではこの宣言の受諾を主張する者と徹底抗戦を唱える者との間で激しく意見が対立したため、最終的に天皇が出席して開かれた御前会議での御聖断を仰ぐことによって宣言受諾が決定された。その間、8月6日には広島、9日には長崎に原子爆弾が投下されている。

自由化・民主化を推進したGHQの占領政策

1945年8月30日、連合国軍最高司令官ダグラス・マッカーサーが日本に到着し、占領が始まった。ポツダム宣言に従い、日本は米国による単独占領となり、ドイツや朝鮮半島のような分断統治は免れた。

連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)は日本政府を通じた間接統治の形を取りながら、民主化・自由化を推し進めた。具体的には、治安維持法をはじめとする思想や信教・言論の自由を制限していた法律を撤廃するとともに、弾圧を行っていた思想警察などの諸機関を廃止、産業を独占していた財閥の解体、そして地主から小作農へ農地を譲渡させる農地改革などを行った。

そして、民主化政策として実施された最大のものの一つが憲法の改正である。はじめGHQは日本政府に憲法改正の草案作成を指示したが、充分なものが挙がらなかったため、GHQ側で作成した草案(マッカーサー草案)をベースに改正案が用意され、帝国議会で可決成立した。
新憲法の要点としては、国民主権・基本的人権の尊重に代表される民主化とともに、象徴としての天皇制、そして戦争放棄が挙げられる。降伏時に指導層にとって最大の懸念であった天皇制の維持(国体護持)は、曲がりなりにも残されることになった。また、軍備の否定を明確に示す9条は、自衛隊を保有する日本のあり方に照らして今なお議論の的になっている。この日本国憲法は1946年11月3日に公布、翌年5月3日に施行され、2011年現在に至るまで改正されることなく存続している。

極東軍事裁判と公職追放

制度改革と並んで行われたのは指導者層の交代である。太平洋戦争(大東亜戦争)開戦時の閣僚を中心にかつての指導者層をA級戦犯容疑者として、彼らの逮捕が命じられた。彼らの中には近衛文麿など自殺した者もいた。結局28人が起訴され、1946年5月3日から東京・市ヶ谷で開かれた極東国際軍事裁判を受け、東条英機ら7人が絞首刑、その他18名が禁固刑となった。7人の絞首刑は1948年12月23日に執行された。A級戦犯の他にも、連合国はアジア各地に軍事法廷を設け、日本の軍人・軍属を裁いた。

また、国家主義的あるいは軍国主義的な人物を公職から追放した。追放されたのは軍人や政治家が多かったが、民間の有力企業やマスメディアの幹部などにも及び、占領の全期間を合わせると二十万人を超えるとされる。

政党の復活と戦後初の総選挙

戦後初の総選挙は1946年4月10日に行われた。それまでに、翼賛政治一色だった戦中とは打って変わって、諸々の政党が結成されていったが、46年1月に出された公職追放令で多くの政治家が議員を追放された。これに伴い、多くの新人議員が誕生することとなった。この選挙後、第一党となった自由党は進歩党と連立を組み、吉田茂を総理大臣とする内閣が誕生した。吉田内閣の仕事は、憲法をはじめとする諸法律の改正であった。

憲法改正後、日本が国民主権の国家となった後の最初の衆議院総選挙は1947年4月25日に実施された。選挙の結果、第一党となった社会党は民主党(先の進歩党を主体にして成立)と国民協同党と三党連立を組み、片山哲を総理大臣とする内閣が成立した。折りしも世界が冷戦に入った当時問題とされていた「資本主義か社会主義か」のイデオロギー対立軸でいえば、社会党は社会主義路線であり時代を象徴する内閣であった。おおまかに資本主義路線を「保守」、社会主義路線を「革新」と呼称し、以降の日本の政治は「保守対革新」の構図で展開されていくことになる。

次は、「朝鮮戦争とサンフランシスコ講和条約

日本政治史 目次

日本政治史 略年表

1945年 終戦
1947年 新憲法施行
1950年 朝鮮戦争
1951年 講和条約締結
1955年 55年体制成立
1956年 日ソ国交回復
国際連合加盟
1960年 安保条約改定
1963年 ケネディ暗殺
1964年 東京オリンピック
新幹線開通
1969年 アポロ月着陸
1970年 大阪万博開催
よど号事件
1971年 ニクソン・ショック
1972年 浅間山荘事件
沖縄本土復帰
日中国交回復
1973年 石油ショック
1976年 ロッキード事件
1978年 第2次石油ショック
1985年 プラザ合意
1988年 リクルート事件
1989年 平成改元
消費税導入
ソ連解体
1990年 湾岸戦争
バブル崩壊
1992年 佐川急便事件
1993年 細川内閣成立
1995年 阪神大震災
地下鉄サリン事件
1997年 山一證券破綻
2001年 米同時多発テロ
2003年 イラク戦争
2008年 リーマン・ショック
2009年 政権交代